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高智晟氏 人権活動の断念は本音か

2010年04月10日

【新唐人2010年4月9日付ニュース】中国の著名な人権派弁護士・高智晟氏が失踪して一年余り。先日北京で記者に対し、「これからは家族のため、人権を守る活動から身を引きたい」と語りました。高氏の友人はこれに理解を示すとともに、彼の置かれた境遇を案じました。

高智晟氏は4月7日、AP通信の記者と接触。記者に対し、「もう続けられない。かつて苦難を経験したが、このため家族を深く傷つけてしまった。熟慮の末(すえ)、私は決断した。穏やかな生活のために」

AP通信の記者によると、目の前の高氏はもう「屈強な人権派弁護士」ではなく、やつれて、時おり目に涙さえ浮かべました。高氏は「皆を失望」させて申し訳ない、と語りました。

かつて高氏と人権保護に取り組んだ西安の弁護士・張鑑康(ちょうかんこう)氏は、苦しみ抜いた高氏に理解を示します。
 
西安の人権派弁護士 張鑑康
「高氏には早く家族と再会してほしい。奥様と子供は彼の活動のため、大変な犠牲を払いました。彼らこそ無辜の被害者です。早く一家が再会してほしい」 
 
高氏の妻子(さいし)は、去年タイを経由してアメリカに行き、今は難民として保護されています。
 
AP通信によると、高氏は4月6日北京の自宅に戻ましたが、変わり果てた様子に肩を落としたそうです。また張氏は3月31日、高氏と連絡を取った際の状況について、このように語りました。
 
西安の人権派弁護士 張鑑康
「とりわけ高氏の娘が米国で立派にやっていると話すと、彼はずいぶん嬉しいようでした」
 
AP通信によれば、高氏は記者に「これはおしゃべりであって取材ではない」と念を押しました。
 
高氏は2006年末、「国家政権転覆罪」で執行猶予付きの3年の有罪判決を受けました。釈放されたわずかな期間も、家族を含め24時間監視され、警察と同じ屋根の下で過ごしたことさえあります。
 
また、陰部への電気ショック・目をいぶす・生殖器へ爪楊枝を刺すなど、軟禁(なんきん)時の拷問も、かつて筆で暴露しました。
 
浙江省(せっこうしょう)のある民主活動家は「これは高氏の本音ではない」と言います。
 
浙江省の民主活動家 範子良
「共産党の判決はころころと変わります。これは高氏の本意ではなく、誰かに指図されて言ったのだと思います」
 
かつて国連の報道自由賞に輝いた中国新聞社の元記者・高瑜(こうゆ)さんは「高氏の心の傷が早く癒(い)えてほしい」と述べます。
 
報道自由賞・受賞記者 高瑜
「高氏は、中国の人権派弁護士の草分けです。しかも法輪功のため、直接弁護しました。法輪功の方はいまだに、自由や権利がなく、まともな生活を送れません。こんな中、高氏はすでに多くを成し遂げました」
 
しかし、高瑜さんは「胡錦濤首席はもうじきアメリカのオバマ大統領と会見する。これは恐らく、米中間の人質交換の条件だろう」とも分析しました。
 
報道自由賞・受賞記者 高瑜
「これは当局が仕立てたに決まっています。AP通信は高氏に会いましたが、彼はかつて突如姿を消し、探すのすら困難でした。今回高氏は、当局を一切非難していません。当局の意に沿うならば出国できるということでしょう。高氏は中米間の政治カードなのです」
 
今年44歳の高氏は、かつて「中国弁護士トップ10(テン)」に輝き、2003年本格的な人権保護活動を開始。2004年からは3回連続で「法輪功迫害をやめるよう」陳情書を出しました。すると、弁護士事務所は営業停止の憂き目(うきめ)に。2006年の高氏の逮捕には、国際社会も強く非難しました。2回、ノーベル平和賞の候補にもなっています。
 
新唐人記者がお送りしました。
 

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